活 動 目 的(定款より)
伊豆半島天城山岳エリアを拠点とし、その周辺地域の環境問題に、農林業並びに観光の活性化を通して取り組み、生物多様性を実現した豊かな自然環境をとり戻すと共に、地域循環型社会を構築することを目的とする。
わたしたちの目指す先
伊豆半島は、全国でも有数の鹿の生息密集エリアです。
世の中でクローズアップされるのは農作物被害ですが、実は森林の食害も甚大であり、
天城連山も例外ではありません。鹿は、有毒植物以外の、林床の下草、木々の芽、若葉、枝、樹皮を食べつくし、山の表土を露出させ、新たな樹木の成長も阻止してしまいます。
山の植物は鹿の食べない植物だけとなり、非常に単調で貧弱な植生となります。そのことは、そこで暮らす他の生物にも影響を与え、生物多様性とは程遠い、限られた生物だけしか棲めない寂しい森となります。
長年かけて堆積した肥沃な山の土壌は、雨や風によりどんどん流出し、削られ、ザラザラのガレ場のような地面ばかりに変貌してゆきます。
地面が削られれば、樹木の根は地表に露出し、やがて倒れてゆきます。樹皮を食われた樹木もやがて死に、倒れてゆきます。
山の重要な役割のひとつは、天然のダムであること。
しかし植物がなくなり、肥沃な土も失った山は、保水力をなくし、降雨は地面に浸み込むことなく流れ下ります。近年の激甚化した風雨が襲えば、倒木と土砂が一気に麓の町を襲います。
地中を通ったミネラルたっぷりの水が流れ込むことで、豊かな漁場が展開して来た伊豆半島の海にも、多大な悪影響がでているそうです。
鹿は決して不要な生物ではありません。
しかし、異常に増えすぎてしまったことで、あまりにも大きな環境破壊が起きています。
わたしたちはそれを見過ごすことはできません。
本当の豊かな森、豊かな自然とはなにか?
わたしたちは、かつてのこの地に存在していた、鹿も含む、あらゆる動物、植物が、再び共生できる環境をとり戻し、天然のダムとなる山をとり戻し、人々もその自然の恵を大切に守りながら、その恩恵を享受できる、そんな山を、もう一度再生したいと思っています。
それは時間のかかる作業であり、地道に継続して行かねば実現できないものです。
わたしたちは、その活動に取り組む者たちが、末永く無理なく継続できるための生業作りも行います。
鹿の捕獲、鹿の資源化、森林整備、放置人工林の天然林への転換、林産物資源化、森と人とをつなぐさまざまな体験の場の提供など、環境保全自体が仕事に繋がる仕組みを模索し、構築し、楽しさ、豊かさと共に天城連山の自然再生を進めて参ります。
また、2023年10月より新たに活動の柱に加えた「オーガニック農業推進事業」は、食糧自給率の低さと耕作放棄地の増加問題を同時に解決すべく、新たな担い手作りをし、かつての食糧生産地を再び復活させ、地域の食糧安全保障に結び付けたいという思いから出発した事業です。
幸いなことに、廃業する農家さんが増える一方で、農業に興味を持つ一般の方々が増えています。
はじめは自給自足からだとしても、とにかくまずは耕作が途絶えたかつての農地を、再び食糧を生み出せる環境に再生させることが重要です。
その時に、わたしたちが、環境に配慮した農業を伝えることが出来れば、地球が喜ぶ畑が増えてゆくことになります。環境保護と地域の食糧自給率アップが同時に叶い、それを生業とする若者が出てくれば、サステナブルな環境保全に繋がります。
このように、仕事が環境保護にも繋がる仕組みをたくさん生み出し、多くの人が無理なく、まるで無意識のうちに!?環境保護をしている状況が生み出せればステキだなと、そんな事を考えています。
代表理事 菊田 美奈子